本のこと日記
2008年06月の本のこと日記
2008.06.21 『TSUGUMI』吉本ばなな
なぜか急に「TSUGUMI」が読みたくなって。なぜだろう??
「TSUGUMI」読むのはもう5回目です。自分の成長とともに、読むたびに感想が違う。
初めて「TSUGUMI」を読んだのは小学生の頃です。確か6年生。読んでみての感想「なんでこれが流行っているのかよくわかんない。つぐみ、めちゃくちゃ性格悪いくせに」。
つぐみの魅力がわからんなんて、お子ちゃまですねえ、わたし。
次に読んだのは中学生の頃。親友がよしもとばななさん大好きだったので、なんとなくまた手にとってみました。その時の感想「やっぱりよくわからない。つぐみ、やっぱり性格悪い」。
まだまだケツが青いのぉ。
3回目はなんと・・・高校入試の国語の問題。感想「お!『TSUGUMI』じゃん!楽勝!」。
おかげさまで、無事、高校合格できました・・・^^;
4回目は大学生になって。感想「あれ?つぐみ、ってちょっと魅力あるかも(イヤなヤツだけど)。」
ようやくちょっと大人になってきた?
そして今回。
つぐみ、めちゃくちゃ魅力的な子です。傑作なヤツです。
もともと身体が弱かったせいでまわりじゅうにちやほやされて育ち、その反動で「意地悪で粗野で口が悪く、わがままで甘ったれでずる賢」く育ってしまったつぐみ。
ものすごく綺麗な容姿と、わがまま放題なハート、壊れて止まりそうな肉体をもった女の子。強くて生命力のある心を持ちながら、それに伴わない体が、切ない。丈夫ではない。いつも死と隣り合わせ。だからこそつぐみの放つ光は、強く輝くのです。こんなにワガママでイヤなヤツで情熱的で強いつぐみなのに、いつこの世から消えてしまってもおかしくない、と思うとつぐみがはかなくて愛しくて、たまらなくなるのです。つぐみのわがままも、キョーレツな性格も、憎らしい発言も、キラキラと強い光を発する宝石のようにまぶしく、大切なものに思えてくるのです。
目を閉じると伊豆の鄙びた海辺の町の風景と、長い髪と大きなきれいな目と白くて細い体、そして強烈な個性を持った美少女が私の脳裏に浮かんできます。そしてこの「TSUGUMI」の物語の先も、つぐみは伊豆でしぶとく生き続けていて、今も軽口をたたいていてほしい、と願わずにはいられません。
(By ミッチョリーナ)
2008.06.17 『蟹工船』小林多喜二
『蟹工船』
日本史だか国語の時間にプロレタリア文学の名作として教えられた記憶はあるのですが、読んだことがなかった小林多喜二の『蟹工船』、いまバカ売れしているそうですね。
で、流行ってる、とか聞くとついつい手が出てしまう私、即買ってみました。
北の海で蟹を収穫して、新鮮なままボイルして、捌いて缶詰めにする。寒くて、辛い作業ですが、「蟹工船」はドル箱です。船主と水産会社、商社は当然労働者にムチを入れる。中間管理職の現場監督・浅川はノルマ達成のため工員にさらに厳しくムチを入れる。
この本の出版された1929年当時は世界恐慌の年。失業者が増えている時代です。だから、辛い・キツイ、っていうか生きて帰れるかわからない蟹工船の工員のクチも後釜がいくらでもいる。
ノルマ達成のための捨て駒にされていても、学がないからだったり、借金があるからだったりして劣悪な環境にも抵抗できずにいた工員たちですが、団結して、みんなでストを起こすシーンはドキドキして胸が高鳴ります。
プロレタリアとかそういうことは私にはよくわからないけれど、読んでいて純粋に面白い作品でした。
しかし、「なぜ今これが売れているか」。それを考えると、これから日本社会が進んでいく方向に不安を覚えます。先人たちが残していったものを、知識・経験として生かせないものでしょうか・・・。
(By ミッチョリーナ)
2008.06.06 『東京バンドワゴン』小路 幸也
まずは、「イイッ!!!」。
今年度出会った本のナンバー1です。
うーん「LOVEだねぇ。LOVEなんだねぇ。」
友人の、そのまた友人である将棋の棋士の方で、読書家の高野秀行五段のオススメがこの『東京バンドワゴン』。いい本を教えていただいて、感謝感激。
「東京バンドワゴン」というのは下町にある古本屋の名前。
築70年にもなる今にも崩れ落ちそうな日本家屋で、カフェも併設されています。
営んでいるのは今時珍しい4世代8人の大家族。
古本屋の帳場に座っているのが三代目店主の堀田勘一(頑固な昔かたぎ)。
勘一の息子・我南人は金髪ロン毛のロッケンローラー。60歳。
孫の名前は紺・藍子・青。(このセンス、大好きです!)
紺はフリーライター。
藍子はシングルマザーで、紺の嫁・亜美さんとカフェを切り盛りしている。
青は超モテモテの旅行添乗員(ちなみに我南人の愛人の子)
それから曾孫は藍子の娘・花陽と、紺と亜美さんの息子。
ちなみに語り手は幽霊!!!
二年前に死去した堀田サチ(勘一の嫁)。成仏せずに、いまも堀田家をひそかに見守っています。
私のお気に入りは金髪ロン毛のロッケンローラー、我南人。どこからともなくフラリと現れては「LOVEだねぇ、LOVEなんだねぇ」と言って去っていく。
イメージ、もろ内田裕也。ロッケンロール!シェゲナ・ベイベー♪
中でも家出した孫への一言は私の心をしびれさせました。
「家出は若者の特権だねぇ。年取ってからやると失踪者になっちゃうからねぇ。今のうちにどんどんやりなさい」
続いて
「ケンカは若者の特権だねぇ。年取ってからやると犯罪になるからねぇ」
ガナト、ブラボー!!!
下町人情あふれる、にぎやかで温かいお話です。
なんとなくサザエさんっぽい雰囲気、大家族で、もちろんご近所さんとも仲良し。何気ない日常が愛おしくなるようなストーリー。基本仲良しだけれど時には言い争いがあったりゴタゴタがあったり。でも根底に流れるものは「LOVE」。文字を追うごとに、「東京バンドワゴン」のある風景が目の前に浮かんでくるかのようでした。そしてそれはもう泣けちゃうぐらいすてきな光景。
「東京バンドワゴン」サイコー!
(By ミッチョリーナ)
