本のこと日記
2008年01月の本のこと日記
2008.01.29 『私の男』桜庭 一樹
今年の直木賞受賞作『私の男』。
読んで、2日経ってからじわじわと「凄い小説だった」と思いました。
ちなみに、読んでる最中は嫌悪感いっぱいで、「こんな本はチャッチャと読んでしまおう」と思っていました。
それは、まさに嫌悪感。
鳥肌が立つぐらいおぞましくて、吐きそうなぐらい汚らわしかった。
だから「こんな本は・・・」と思い、じっくり行間を味わうなどせず、乱暴に読み進めたのに・・・・・・。
いやだ、いやだ、いやな本だった。と思いつつも、いつしか引きずり込まれていました。
花24歳の、結婚式前日から始まるストーリー。
読み始めてすぐに、花とその養父=惇悟との関係が尋常ではないことに気づかされます。
2人にはその肉体関係だけでなく、過去にも秘密があるらしいことが仄めかされます。それは一体何なのか。
花は養父のことを「惇悟」と呼ぶときと「おとうさん」と呼ぶときがあります。
花が呼びかける「惇悟」と「おとうさん」、その奇妙なアンバランスさから、花の抱える心の闇の深さが感じられて切なくなります。
そして、その「おとうさん」と体の関係中に花の呼ぶ「おとうさぁん」という声。私は、文中何度も出てくる「おとうさぁん」が大嫌いでした。
汚らわしくて、気持ち悪くて、不愉快で、目を背け、耳をふさぎたくなりました。
でもそれが、花と惇悟の「日常」です。
「おとうさんは、むすめに、何をしてもいいの」
「親子のあいだで、しちゃいけないことなんて、この世にあるの?」
花の言ったその言葉のなんと妖しく罪深いことでしょう。
歪んでいるし、間違っている。それでもそう生きるしかなかった花と惇悟の生き様が読み進めてやっと胸に迫ってきます。さらに読み終わってから、二人に魅了されます。
ちっともうらやましくない二人だけれど、もっと心の奥底を知ってみたくなります。
(By ミッチョリーナ)
