本のこと日記

2007年08月の本のこと日記

2007.08.29 『仲蔵狂乱』松井 今朝子


読書仲間の落語家 立川談慶師匠に
「直木賞『吉原手引草』(松井今朝子)、いいですよ」とメールを送ったところ、
「読もうと思ってました!松井さんの『仲蔵狂乱』もオススメです」
とのこと。素直な私ってば、早速読んでみました。


いやいやいやいや、素晴らしい!傑作です。「吉原手引草」を上回るかもしれない!

江戸の安永―天明期、稲荷町(歌舞伎で最下級の役者)の身から、千両役者にまで上り詰めた初代中村仲蔵の生涯を描いた作品。
江戸の粋の中に、仲蔵や仲蔵を取り巻く周囲の人たちの温かさ、非情さ、人間臭さ、歌舞伎の美しさ、芸事の厳しさ・・・いろいろなエッセンスが詰め込まれていて、男・中村仲蔵の人生が胸に迫ってきます。

梨園という特異な世界で辛酸をペロペロ嘗め嘗め、芸の道を究めていく姿は単なるサクセスストーリーとはわけが違います。
まったく人生ったぁ山アリ谷アリ、人間万事塞翁が馬、だから生きるって素晴らしいぜ!
なんて思っちゃうほどに中村仲蔵の生涯は魅力的。惚れちゃいそうです。
この仲蔵、苦労してのし上がったのに、いつもどこか甘く、お人好しで、要らん苦労を背負い込んでしまう性なところがまたなんとも愛おしいの♪

また、中村勘三郎、市川団十郎、市川海老蔵、松本幸四郎・・・とお馴染みのBIG NAMEとの係わり合いも面白い!
歌舞伎の世界の闇(足の引っ張り合いやお金の問題など)も見せながら、同時に歌舞伎という夢舞台が豪華絢爛に描かれていて、歌舞伎座に足を踏み入れたことのない私をめくるめく歌舞伎ワールドへ引き込んでくれる一冊。
これを期に、わたくし、歌舞伎に目覚めてみたいと思うところ。まずは「お気に」の役者さんでも探そっかなあと、とりあえず、同世代の歌舞伎役者をリサーチしてみますと・・・

あらあら・・・。

海老蔵さんに、獅童さん・・・皆さん、芸を肥やしていらっしゃるわぁ、いろんな意味で(笑)。

でもね、この本をきっかけにそれまではわからなかったあるテーマが判った気がします。
そのテーマとは
「海老蔵ばかりがなぜモテる?」



伝統ある市川団十郎家に生まれ、そこに生まれたからには皆が納得する技量を身につけなければいけない運命。そしてそれができちゃっている。そこへ持ってきて、顔よし・声よし・演技よしだったら、そりゃアンタ、米倉さんもサトエリも、高岡早紀も元テレ朝社員も放っておかないわよ!ま、世間での呼び名が「元テレ朝社員」っていう女性ってのもなんだか笑っちゃいますけど!

(By ミッチョリーナ)

2007.08.21 『花宵道中』宮木 あや子

直木賞「吉原手引草」を読んで以来、吉原マイブームの今日この頃。
(どうでもいいですけど「吉原マイブーム」っていうと、なんだかエロオヤジっぽいですね。)

今回手に取った本はやはり吉原の遊女が主人公の「花宵道中」。「R−18文学賞大賞」受賞作・・・「R−18」ってのがまた興味をそそられるじゃないの!

しかし、しかしだ!
舞台は吉原、そして「R−18」だけに官能的なシーンが何箇所も出てくるが、「グヘヘヘ・・・」という気分で読もうとするのならば、この小説に、登場する遊女たちにすげなく玄関前で足蹴にされるだろう。この小説は、そして描かれている遊女たちは誇り高く、美しい。
「花宵道中」の遊女たちにとって官能は哀しみ、快楽、憎しみ、痛み、怒り、ぬくもり、切なさで、肉体は、生きるすべてであり、魂であり、意志のある叫びなのだ。


「花宵道中」は5つのストーリーで構成されていて、それぞれが巧みに結びついている。
舞台は、江戸吉原の女郎屋「山田屋」。「山田屋」は花魁を抱えられるような大きな店(見世)ではないが、遊女を叩き売りしているようなところでもない。この小説は山田屋で生きる遊女たちと、そこを訪れる男たちの姿を通して、江戸随一の遊郭「吉原」が鮮やかに描きだされている。


吉原に生きる遊女たちの中に、好き好んで吉原にやってきた女はほとんどいないだろう。多くは貧しさなどから売られてきた女たちだ。
借金のために体を売って魂をすり減らしていく毎日。諦めないとやりきれない生活だ。
でも、だからこそ誇りや希望を失わないように、ときには競い合い、ときには助け合いながら遊女たちは懸命に生きているんだと感じられた。


 私はもちろん江戸時代の遊郭を実際に見たことも行ったこともない。なのにどうしてどうして、「花宵道中」を読んでいるその時間は江戸吉原にタイムスリップしてしまいました。山田屋の景色が目の前に浮かび、どぶ堀の臭いをかぎ、新しい着物にときめき、客を取る姉さん女郎を襖の間から覗き見し、人が寝静まる早朝、好きな男に会うために町を走りました。
それぐらい夢中になれる本です。

すると、ちょっとだけ遊女の気持ちがわかった気がします。「ちょっとだけ」と言ったのは謙遜。ホントは「とてもよくわかるよ」と言いたいところだけど、やっぱり「ちょっとだけ」が正しい気がします。だって、遊女たちにとってみれば、きっと「あんたみたいな甘ちゃんに、私たちの全部がわかってたまるか!」ですもん。

(By ミッチョリーナ)

2007.08.17 『吉原手引草』松井 今朝子

芥川賞「アサッテの人」に続いて、こちらは直木賞「吉原手引草」です。

十年に一度、五丁町一の花魁と謳われ、身請け話も決まっていた矢先に、神隠しにでも遭ったように消えてしまった吉原の花魁 葛城。
その謎を一人の男が、花魁に関係のあった吉原の人々やお客に聞いてまわる。


すると徐々にわかってくるのが事件の謎だけでなく、吉原の作法や廓の表裏、花魁の生き様、人間模様。読み出せばすぐに気分は吉原。リズムのよい江戸っ子の語り口に、読んでいるとこっちまで江戸っ子節になっちまうから困ったこった。
影響されやすい私は、街のショーウィンドーの前で気付くと花魁道中の歩き方の練習なんかしちゃう始末。
さすがに「〜でありんす」なんて言いやしませんが、めくるめく吉原の世界にどっぷり浸かるにはうってつけの一冊です。

さらに魅力的なのがこの花魁 葛城。豪華な衣装、夜も明るい華やかな街で気高く潔く暮らしていても吉原に生きる花魁はどこか物悲しい。
なぜ失踪したのか、その謎が解けたとき、葛城の背負っている悲しみや苦しみ憎しみ悔しさ、そして美しさすべてが胸に迫ってきます。吉原で花魁という位になるのも難しいのにその中で圧倒的なポジションに上り詰めた葛城花魁はさすがにアッパレな女です。
そして事件の背景に見え隠れする葛城を取り巻く人々の心意気や息遣いがまた見事。葛城失踪の裏にある「吉原」の意地が小気味いい素晴らしい作品です。

さすが直木賞!

しばらく私の頭の中は吉原でいっぱいになりそう。(って書くとエロ旦那みたいだ・・・)

(By ミッチョリーナ)

2007.08.12 『アサッテの人』諏訪 哲史

第137回芥川賞の受賞作です。
帯に
「芥川賞 群像新人文学賞  W受賞!
村上龍氏以来、30年ぶりの快挙!
驚異の新人出現!」

と、書いてあったので期待も高まります。

「一度読んで楽しむだけでなく、繰り返しめくれば、あちこちに新しい発見がある」多和田葉子氏
「文章や構成に緊張感があり、とにかく面白く読める」藤野千夜氏

などなど、帯の裏にも作家先生方の賛辞の嵐。


そんな・・・プロの方が褒め称えている作品にヤイノヤイノ言うのは非常に勇気が要りますが・・・「アサッテの人」、私的には・・・・・・言っちゃいます!
・・・・・・あんまり面白くなかった。


「繰り返しめくれば・・・」という前に繰り返し読む気はありません。

面白くないっていうより、なんやようわからんかった。。。

偉そうに言っちゃって「いかほど〜?」って感じでしょうが。。。すみませんっ!

でも、単語や、哲学的思考が私にはちょっと難しすぎてつまらなかったのかも。もっと賢い頭があれば理解できるとは思いますが。。。

「アサッテ人」の「アサッテ」は私もよく親に言われていた「アサッテの方ばっかり向いて!」の「アサッテ」です。

主人公である風変わりな「叔父さん」が、この「アサッテの人」で、叔父さんは日常の当たり前なことに対して恐怖を感じ、それを打破したくなると「ポンパ!」とか「タポンテュー」とか不思議なわけのわからん言葉を叫んでしまう。
そして現在は行方不明になっている叔父さんの言葉の謎を「俺」が追うという展開。

小説って、読んでいるうちに登場人物に共感したり嫌いと思ったり、とにかく何かしら感情がでてくるものだと思うのですが、「アサッテの人」の叔父さんにも俺にも、まったく興味が湧きませんでした。
うーん・・・きっと私が稚拙だからなんだろうけど。。。魅了されなかったんです、まったく。


なのに!にも拘らず!
今日お昼に行ったファミレス「○ョナサン」のカレーフェアのメニューの中にあった「プーパッポンカリー」っていう文字を見たときに
「なに!?ポンパの類か!?」
と思ってしまった私は、もうすでに「ポンパ!」の虜なのか!?


ちなみに本文の中にギルバート・オサリバンの《アローン・アゲイン》を「アサッテの人」的に
「えなりるわっほなう、
えなってりえにれっさ、
あぽーませーとといーませー、
あびーじらにあうばったう、
あくらいびんとーざた、
いすーませーふぉ、
以下略」

と表してありましたが、これっぽいの、前にどっかで読んだことあるなあ。。。

あ・・・西加奈子さんの「さくら」だ(これ、めっちゃいい本です)。「さくら」の中にあったし、こういう表現。
「いーざーらー、
ざーあーふぁうえばー、
しんゆーびーおらう
よーらーぷっみー、
あーざーとっぽらわー」
と書いてあります。
なんのこっちゃ?って感じでしょうが、これはお母さんの鼻歌を子供が耳にしていた「音」。

実は
「Is the love that I’ve found ever since you’ve been around.Your love’s put me at the top of the world.」
そう!カーペンターズの「トップ オブ ザ ワールド」だった、という一節。


この一節と同じ手法だったのね。。。



「アサッテの人」、読んだらわかる、のでしょうか?
私には、「わからない」ということがわかりました・・・。


(By ミッチョリーナ)

2007.08.01 『ポケット数独(中級篇)』ニコリ編著

最近、この「本のこと日記」をサボっていまして・・・と、言いますのも読書してなかったのです。理由は、本代がかなりかさんでいるのと、狭い部屋が本に占拠されていることへのささやかな抵抗・・・我ながらホトホトちっちゃい女ですよ。。。
じゃあ何をしてたかって、これ。「数独」。数字を使ったパズルです。
この本の最初のページによりますと「数独は世界的に人気のあるパズルです」だそうで・・・。ローマの街角で、上海のおかゆ屋で、NYの地下鉄の中で、ワイキキのビーチで、エジプトのオアシスで、ガンジスの川辺で・・・世界の人々が「数独」に奮闘しているかと思うと、「私も宇宙船地球号の乗組員の一人として数独をエンジョイするぞ!」などとやる気もでてきます。
表紙には「脳力トレーニングに最適!」なんて書いてあります。「これ一冊やりきる頃には私のIQも格段にレベルアップしているかもしれない!」という夢も膨らみます。
ちなみにわたくし、数独は初めてにも関わらず、いきなり「中級篇」を手にしたわけは偏にプライドからです。

解きだしてみると、これがまたかなり夢中になります。夢中になりすぎて、目の前で長時間小さな数字と格闘していたので、かなり視力が低下しました。
コツとしては、間違えたらその問題はもう諦めることです。人間、諦めも大事なんだなあという人生勉強にもなります。わたくし、全105問中、27問は諦めてました。

たった552円でしばらく楽しめる「数独」。次回「上級篇」に挑戦したいと思います。やり終える頃には私のIQも・・・。

(By ミッチョリーナ)

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