本のこと日記

2007年04月の本のこと日記

2007.04.20 『夜は短し歩けよ乙女』森見 登美彦

【帯より】
天然キャラの女子に萌える男子の純情!
キュートで奇抜な恋愛小説in京都
「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇奇怪怪なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!




雰囲気的には宮崎アニメワールド。(とくに『千と千尋の神隠し』が一番「っぽい」))

「恋愛小説in京都」・・・っていうか、「変人さん大集合in京都」でしょう。とにかく登場人物から出来事から奇妙キテレツ!
まともなのは京都の地名ぐらい。

ひよこ豆のように小さな「黒髪の乙女」に一目惚れした「先輩」。
その後ろ姿の世界的権威である彼は、ある信用できる筋から情報を得ては彼女の行く先々に“たまたま”通りかかる。追いかけること半年以上。

もうっ、「先輩」ってば立派なス・ト・オ・カ・ア♪



偶然の出逢いを狙うべく必死な彼ですが、ちょっと待って!笑えませんよっ。
胸に手を当ててごらんなさい!恋に狂ってストーキングした経験は誰にもあるはずだわ。
意中のあの方の自宅を探るべく、その後姿を尾行し、表札をなでて帰ってくる、
あの方の日常を知るために、その兄弟姉妹を手なずける、
机に座ってうっとりしてみる、
部室に忍び込んでジャージの匂いをかいでみる、
終いにはリコーダーをなめてみる(ちょっとした間接接吻を味わうべく!)・・・
えぇえぇ、上記はわたくしの思春期のほんの一例ですが、アナタにもいろいろあるハズです。


そんな彼が追いかける「黒髪の乙女」はとんでもない不思議ちゃん。たまたま出会った怪しい人たちに疑うこともなく付いていき飲むヮ。飲めばザルだヮ、緋鯉を背負って学園祭をうろつくヮ・・・。
そんなズレた乙女だから、「先輩」がどんなにストーキングをしてもまったく気づかない。「先輩」は一週間に一回ペースで“たまたま”バッタリ会うのですが、それでも彼女は気づかない。出てくる言葉は「奇遇ですね」。
(ちなみにわたくしのストーカー行為は、今思えばバレバレだったことでしょう・・・。当時はまったくバレていないと思っていましたが)。




読み終わると、この本全体の不思議ワールドに包まれるだけじゃなく、自分の恥ずかしい恋愛遍歴なんかも走馬灯のように頭に浮かんできますよ!


ところでこの本、京都を知っているほうがより楽しめます。京都の地名や通り、お店・・・、かなりレアなお店まで出てきて、京都で大学時代を過ごしたわたくし、懐かしさにむせび泣きました。
やけに京都に詳しいなあと思ったら、作者の森見さんは京大ご出身。京大といえば『鴨川ホルモー』の万城目さんも京大出身。やるな、京大!

(Byミッチョリーナ)

2007.04.16 『バッテリー』 あさのあつこ

野球が好きです。
でも私は女子。見ているだけで本気で野球をやったことなどございません。

「バッテリー」を読んで、ピッチャーが、キャッチャーが、バッターが・・・こんなことを考えていたなんて初めて知りました。

「バッテリー」。どんな話?って聞かれても・・・ないんです。
天才ピッチャーがいて、仲間がいて、家族がいて、ライバルがいて・・・そんな中学生たちのストーリー。

ただただ、読みながら野球へのいとおしさを感じ、野球に出会って夢中に打ち込んでいる人たちをうらやましく思います。

やっぱりいいな、野球って。

あーーーーーー野球やりたかった!
男子に生まれたかった!
男子に生まれて、憧れの「立ちション」をして、野球をして、キャッチャーになりたかった!

・・・・・・もちろんピッチャーは佑ちゃん♥

佑ちゃんが内角低めにストレートを投げる。
バシッと受けるあたし♪
ストライク!
目で笑う佑ちゃんとあ・た・し。
18.44m先の佑ちゃんの白い歯がまぶしい・・・。
「オレにとってのキャッチャーはみちよしかいないよ」
「もうっ、佑さんてばまたそんなこと言ってぇ・・・。だってキャッチャーは『女房役』ですもの、当たり前のことをしてるだけよ。うふふふふ」
「おいおい、『女房役』じゃなくて『女房』だろ。バカだな、みちよは。あはははは・・・」



おっとイケナイ!得意の妄想入っちゃったわっっ!



『バッテリー』の舞台は中学ですが、思えば中学生の頃ってとても繊細で単純で、小さいことで悩んだりしてた不思議な時期だったなあ。
なぁなぁとか「ま、いっか」じゃ済まされない世界。
毎日毎日一生懸命だった気がします。
この本を読むと、あの頃のひたむきさがよみがえってきます。
(・・・こんなイケナイ妄想してる場合じゃないの、ほんとは!)

そうそう『バッテリー』といえば映画も公開中ですが、これがかなりよいです!
だいたい、本でよかった作品は「なんだこんなもんか」となりがちですが、『バッテリー』に関しては本も映画も推薦します。

(By ミッチョリーナ)

2007.04.04 『華麗なる一族』山崎豊子

TBS系列でこの3月まで放送していたドラマ「華麗なる一族」。
すっかりトリコになった私は、それ以来頭の中はすっかり「万俵家」。
というか私自身が万俵家。
しかも万俵二子(ドラマでは相武紗季ちゃん)。


そんな脳内セレブ(というか脳内相武紗季)な感覚で読み始めた小説『華麗なる一族』。
ドラマの主人公は木村拓哉さん演じる万俵家長男の万俵鉄平ですが、
小説の主人公は万俵家の家長、万俵大介(北大路欣也さん)です。
金融再編の荒波の中を財閥の長である万俵大介がどう切り抜けていくかというストーリー。自らの飽くなき野望の為なら家族を犠牲にしてもかまわない、という厳しい生き方と、そんな大介に翻弄される万俵家やまわりの人間模様を描いた奥の深い小説なのです。

万俵家、たしかに「華麗」ではありますが「残虐」です。
・・・・・でも「残虐なる一族」ってタイトルじゃ、・・・・・・やっぱり違うのよね。


さすがは山崎豊子先生、人物描写の巧みさはもちろんなんですが、小説の舞台となった「金融再編」の裏舞台の展開がリアルでドキドキします。
万俵大介はカンペキな「悪役」ですが、山崎先生の「悪役」は「100%憎き悪役」じゃないところがさすが。『白い巨塔』の財前先生、然り、「悪役」のなかにも「血」が通ってるのです。
難しい役どころです。
でもさすがはベテラン俳優!あの風格、オーラ、眼力・・・万俵大介は、私の中ではもう北大路欣也さんでしか想像できません。
「ザッツ頭取!」って感じの黒い椅子に深く沈みながら葉巻やパイプをくゆらす万俵“欣也”大介(以下 万俵.K.大介)。
気合の入った目バリでこちらを見据える万俵.K.大介。
昼間は一分の隙も許さない厳格な頭取でいながら、家では妻妾同衾なんかしちゃってる野獣、万俵.K.大介。
息子鉄平がその自殺によって初めて実の子供だったとわかり、動揺する万俵.K.大介。

小説でもドラマでも、“濃い”です、万俵.K.大介ッ!!

ん?濃い?・・・濃い・・・こい・・・鯉!

そう、『華麗なる一族』のサブキャラでもあり、ある意味主役なのが万俵家の池に住む巨鯉「将軍」。(類義語としては「肖像画」)。
ドラマで「将軍」と「肖像画」が登場するたびに「プッ」と思ってしまったのは私だけでしょうか。

先代がかわいがっていた「将軍」は、大介が池の端で手を叩いて呼んでも決して姿を現さないのに、鉄平が手を叩くと現れるのです。
そこから「鉄平はやはり、亡くなった祖父さんと妻の間の子では・・・」と疑う万俵.K.大介。(もうしつこい?)

で・・・
で、だ。。。
ここで突然ですが「もしもシリーズ」。
もしも、大介の呼び方がヘタなだけで、意外に「将軍」は誰が呼んでも来るキャラだったら・・・。
相子(鈴木京香)が呼んでみる。「パンパンパン。あら、わたくしが呼んでも現れてよ。銀行再編より鯉の餌付けを練習なさったら?」。
美馬(仲村トオル)が呼んでみる。「パンパンパン。お義父さん、ボクにも呼べましたよ」
二子(相武紗季)が呼んでみる。「パンパンパン。四々彦さん!私にも呼べましたわ!」
早苗(長谷川京子)が呼んでみる。「パンパンパン。あなた、呼べましたよ。わたくしは万俵鉄平の妻です、呼べて当然ですよ」
三雲頭取(柳葉敏郎)が呼んでみる。「パンパンパン。誰でも呼べるじゃないですか!青島くん!」
綿貫専務(鶴瓶師匠)が呼んでみる。「わてが呼んでみますわ。パンパンパン。ぐふふふふ、見てみぃ。来よりましたわ」
大亀専務(武田鉄矢)が呼んでみる。「・・・ではわたくしも・・・。パンパンパン。あ、お見えになりました」
玄さん(六平直正)が呼んでみる。「若!わしにもやらせてくれ!パンパンパン。ほれ、来よった来よった!頭取、諦めたらあかんで!」
永田大蔵大臣(津川雅彦)が呼んでみる。「パンパンパン。あにょね!鯉を呼ぶのは最低条件!」
そこへ先代の祖父さん(亡霊)が現れ、呼んでみる「パンパンパン。大介、公家の女の肌はマシュマロのように白くて柔らかだ・・・」
そこへ銀平(山本耕史)がブランデー片手にスッと寄ってきて一言「お父さんの負けですよ」。
大介(北大路欣也)も改めて呼んでみる「パンパンパン。(待つこと数分、ついに「将軍」が来た!)天はわれに味方したか・・・」



と、まあ、小説もドラマもとても濃いキャラ揃いの『華麗なる一族』ですから、読書やDVDだけでなく、こんなことを想像して華麗なる一人遊びも楽しめます。


(Byミッチョリーナ)

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