本のこと日記
2007年02月の本のこと日記
2007.02.23 『のび太の結婚前夜/おばあちゃんの思い出』 藤子・F・不二雄
突然ですが私、「絶対泣けます!!!」っていう帯が嫌いです。
だっていくら「セカチュー」が“泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました。(柴崎コウさん)”帯でバカ売れしたからって、「○○さん号泣」本、多すぎ。タレントさんたち、こぞって泣きすぎ。
と、言ってる割には本を買うときに帯にかなり影響されている私。安い女だわ。
いや、だからこそ、買った本が大して「号泣」じゃなかったり、「絶対泣け・・・ないんですけど・・・」だったりすると、「あんたを信頼して買ったのに!」と怒りが沸々。終いには推薦者のタレントさんを「ふん、あんな程度で『号泣』する女なんて!」と思ったりするのだ。
でもまた懲りずに買ってしまう「泣ける!」推薦帯。
実はこの『のび太の結婚前夜/おばあちゃんの思い出』もその種だ。
でもねぇ、これは『絶対泣けます!!!』。
2月のとある日、中学時代の親友「なみへいちゃん」とランチをし、そのまま二人でぶらりと街を歩いていて見つけた『のび太の結婚前夜/おばあちゃんの思い出』。
二人で即買いし、「じゃあ帰りの電車で読んで、感想送りあおうね!」なんてかわいい約束をしたものの、なみへいちゃん、ゴメンっ。わたし、電車じゃ読めなかったわ!
・・・だって29歳にもなって車内で「ドラえもん」読みふけって、しかもまかり間違って「号泣」などしちゃったら・・・おかしいを通り越して痛々しいわ。なみへいちゃん、あなたはすてきな旦那さんを手に入れてるから怖くないわ。車内で大いに読んで泣いてちょうだい。わたしはムリよ。嫁入り前だもの。
そうよ、女同士の約束なんてはかないものよ。私は家でじっくり読んだわ。
タイムマシーンを駆使して、のび太としずかちゃんの結婚式の前夜を見に行く話(つまり大人になったのび太の話)と、のび太がやさしかったおばあちゃんに会いに行く話(つまり幼少時ののび太の話)です。
さすが「ドラえもん」よ。笑いも涙も感動もすべてが詰まってるの。
ストーリーもすばらしいですが、今も昔も将来も全然変わっていないのび太、ジャイアン、スネ夫、出来杉くん、しずかちゃんにもホッとさせられちゃったり。忘れていた何かを思い出させてもらったり、忘れちゃいけないことを再認識させられたり、たかが「マンガ」と侮るなかれ。さすがは藤子・F・不二雄先生よ。人生とは何たるかがわかっていらっしゃるわ。伊達に「トキワ荘」に住んでいらっしゃらなかったのよ、やっぱり!
ところで、今も昔も将来も、しずかちゃんにちっとも「女友達」がいないのは・・・・・・ふん、なんだかわかる気がするわ、と思ってしまうひねくれた私。
あぁ女って怖いわ。
(By みっちょりーな)
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2007.02.21 『痴人の愛』谷崎 潤一郎
「谷崎潤一郎はエロイよぉ」と、子供時分にどこかで聞いてから、いつか読んでみようと思っていたのが『痴人の愛』。
会社では「君子」と知られている生真面目なサラリーマン河合譲治が、カフェエで見初めたナオミを自分好みの女性に育て上げ、行く行くは妻に、なんて思っていたのに、いつの間にか立場は逆転。ナオミの手玉に取られ、譲治は身を滅ぼしていくというストーリー。
初めて読んだのは3年ほど前。その感想は・・・
男って・・・バカね。
だってさぁ、ナオミなんてバカだし超イヤな女じゃん。
なのにさ・・・・。あーーーーほんと、男ってバカ。
こういう男がいるから、世渡りだけはうまい女がイイ思いしちゃうのよ!
もうっ、「おやおやジョージさん。あんたいつからこんなに堕落しちまったんだい?え?」と何度思ったことか・・・。
でもね、わかる。
「こんな女、こんな女!」と思いながらもナオミ地獄にハマっていってしまう様は見事としか言いようがないわ。
だってあるでしょ、そういうこと。相手が自分の思い通りにならなけらばならないほどムキになって頑張っちゃう。「あーーむかつく!なんてイヤなヤツだ!」と思いながらも何故かアイツのことが気になっちゃったりする。
ナオミはまさにそのタイプ。魔性の女よ。
『痴人の愛』はナオミにハマって堕落していく男の様、大正時代のインテリたちの価値観、大衆文化(大正時代ってかなり面白い文化なので、ここはひとつ、逐一注釈を見ながら読み進めていただきたい)・・・が「性の葛藤(エロ)」の中にビシッと描かれているすばらしい作品なのだ。単に官能小説じゃないところがさすが谷崎さん。
ところで、この「自分好みの女に育て上げてみよう」という譲治の気持ちはわからなでもない。
というのもわたくし、近頃ハンカチ王子こと早実高の斉藤佑樹投手に夢中です。
特別「タイプ♥」ってわけじゃないのになぜ???と自分でも思っていたのですが、先日、わかったんです。
育ててみたい。
そう!斉藤くんのなんていうか・・・まだ女性の「じょ」の字も知らないようなところに、私のこの「育ててみたい」魂がメラメラと反応したのです。
「私が恋のイロハを教えてあげるわ!」と、斉藤投手ご本人からしてみれば余計なお世話としか言いようのない妄想を頭の中で繰り広げちゃってるおバカな私。
あれ?女(っていうか私)もバカじゃん。
追伸:それにしても谷崎サンって、ほんと、足フェチなんですね・・・。
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エロティックだが読みやすい
男の性と女の性
耽美主義者が心惹かれた「白い手」、欧化の快感2007.02.10 『鴨川ホルモー』万城目 学
このごろ都にはやるもの、
勧誘、貧乏、一目ぼれ。
葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。
腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、
出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。
このごろ都にはやるもの、
協定、合戦、片思い。
祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。
「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。
戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。
恋に、戦に、チョンマゲに、
若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。
京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。
都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。
前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。
「鴨川ホルモー」ここにあり!!
(カバーより)
♪ドライブウェイに春が来りゃ
イェ・イェ・イェ イェイイェイ うっふーん
レェナウーン レナウン、レナウン・・・
なんでこんな懐かしCMソングが頭から離れないんだ・・・!
全部「ホルモー」のせいだ。
いや「オニ」のせいかもしれない・・・。
・・・って、何言っちゃってるか全然わかんないですね。はい、すみません。
すべて「ホルモー」のせいです。「ホルモー」って何かと言うと・・・
なんなんだろ??
いや・・・なんだか説明できないんですけど、この『鴨川ホルモー』を読めばアナタも「ホルモー」に取り付かれるハズ。
「取り付く」ったって、ホルモーは「霊」とか「怨」とかそういう類のものじゃあないんだな。
とにかく「ホルモー」という謎の対戦競技があって、この『鴨川ホルモー』はその「ホルモー」をするサークル「京都大学青龍会」に入った京大の学生の青春物語。(ちなみに「ホルモー」をするサークルは4つ。「京都産業大学玄武組」「立命館大学白虎隊」「龍谷大学フェニックス」「京都大学青龍会」だ)。
戦いあり、恋あり、友情ありの、まぁ何ていうか普通の大学生の普通の青春物語のハズなんですが、ただひとつ、おかしなことになっちゃってるのは舞台が「ホルモー」だからなんです。
登場人物たちがこの意味不明な競技「ホルモー」にいつの間にか熱くなれるのは、きっと彼らが「大学生」というリベロな存在だからでしょう。
思えば大学時代って人生で一番アホだったもんなあ。
私が大学時代にやってた一番アホな活動は「ひと夏の恋」。ステデーな彼がいようがいまいが、大学で見かけた「あ、あの人ちょっとすてき!」とときめいた殿方に、大学の長い夏休みをフルに使ってアタックし、ツーショットのプリクラを撮り、休み明けに提出するという高尚な競技。本命の彼にバレ、参加者たちは次々と「清算の秋」になってしまったことは言うまでもないが・・・。でもなんでこんなアホなことができたかというと、すべては「大学生だから」。そう、無鉄砲だったさ、あのころは。
あゝ大学時代。
アホで、熱くて、ジリ貧だった青春時代が、この『鴨川ホルモー』にギッシリ詰まってます。
とにかくハマること間違いなし!読みながら「プッ!」もしくは「ニヤリ」とすること間違いなし!
私だって別に変な小説が好きなわけではないのに、読み終わったらすっかり虜。
「ホルモー」やりてぇぇぇぇぇぇぇっ!
「オニ」語、覚えてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!
なんで私、「立命館大学白虎隊」に入ってなかったんだぁぁぁぁぁぁ!
(Byみっちょりーな)
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中途半端
意外と面白かった。
擬似学生体験2007.02.06 『大地の子』山崎豊子
『大地の子』山崎豊子
山崎豊子さんは大好きな作家です。
なんせ奥が深い。作品ひとつひとつの社会背景や人物構成のリアル感がまずすばらしい。それにも増して登場人物ひとりひとりがみんな、奥深い。どの人物も近くにいそうな「生きている」感があるのだ。
過去に読んだ「女系家族」「白い巨塔」で、山崎豊子さんって女流作家と男性作家のいいところを併せ持ったすばらしい作家だなぁと感じていました。女性の描く心理描写の細やかさに、男性の描く背景や社会描写のダイナミックさがプラスされた感じ。
とにかく山崎豊子はすばらしい!
だって山崎豊子を読んだ後は、何を読んだらいいか迷うもん。恋だの愛だのを薄っぺらく描いた本とか、帯に「○○さん絶賛!号泣!」みたいな本とか、チャンチャラ可笑しく感じるし、かといってズシリと重い社会派の作品は「ごめん。ちょっと休ませて」といった感じ。だって山崎作品にこめられている「熱」を感じるために、読む側も相当エネルギーを消耗するから。
さて『大地の子』。満州開拓団で育った日本人戦争孤児が主人公。日本語も両親の顔も覚えていないのに、日本人というだけで中国ではずっと「小日本鬼子(シャオリーペンクイツ)」と苛め抜かれる。
どんなに頑張っても、どんなに「自分は中国人だ」と思っても、「日本人の血」だけが彼の足を引っ張る。とくに文化大革命での凄惨なリンチのシーンは目を覆いたくなる。
でも苛められるばかりではない。慈悲深い養父母ややさしい奥さん、窮地を救ってくれる親友、認めてくれる上司など、国や血を越えてつながる人の温かさにもホッとする。
中でも特に、日本人の子供を育てることは自分の命を掛けるという時代に、血の繋がる親子以上の強い絆で主人公を育て、守った養父母の言葉には重みがある。
「人を育てることとは自分の身を削ること。」
主人公がなぜそこまで過酷な人生を歩まなければならなかったのか。
「誰がいけない」のではない。侵略の歴史、戦争、中国の歴史の残酷さ、中国と日本の体質の違い・・・いろいろことが相成って「大地の子」が生まれたんだと気づきます。
この本を読んで、知らなかった中国と日本の近代史が見えてきます。
そういえば、歴史の授業でも戦後ってぜんぜん習わなかったもんなぁ。。。
私の祖父は台湾人です。ですから私のルーツは中国でもあります。
そんな自分にとって大切な国の歩んだ過酷な歴史、しかも近代史を何も知らない自分が情けなくなりました。どうして習ってこなかったんだろう?
さらに『大地の子』の主人公は長野県・戸隠村(現長野市)からの開拓団です。自分と無関係とはいえない主人公・・・。
小さいころ私は、「中国残留日本人孤児」が肉親探しで来日している様子をTVで見ていて、「どうして小さいころしか会ったことがない親や、まったく会ったことがなかった親戚に会えて、あの人たちはあんなに泣くんだろう?」と疑問に感じていました。
そして今までもその気持ちはわかりませんでした。
でもこの『大地の子』を読んで、孤児たちの置かれていた立場がわかり、中国と日本が歩んだ悲しい歴史を自分はもっと知っていなければいけなかった、と自分の無知に反省。
最後になぜこの本のタイトルが『大地の子』か・・・。そこに中国という国の険しさ、悠久の流れ、たくましさが凝縮されていると思います。
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心と心のぶつかりあいに自然に涙が出る
国をまたがる葛藤
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涙なしに読めない



