本のこと日記
2007年01月の本のこと日記
2007.01.29 『OUT』桐野夏生
やっちまった・・・。
反則だ。。。
出張の飛行機のお供に持ってきた桐野夏生の小説「OUT」。座席に着き、ベルトを締め、さ〜て読むぞ!って時に気がついた。
やっちまった・・・。
「下」を持ってきちゃった・・・・・・・・。
ミステリーをいきなり「下」巻から読むという超反則を犯してしまったおばかな自分に軽くイラッと来ながらもやはり、
「作家・桐野夏生はすごい!」
と唸らずにはいられない作品です。
桐野夏生に初めて触れたのは「グロテスク」という作品。
「グロテスク」にしても「OUT」にしても、桐野小説は、暗い。深い。恐い。
「グロテスク」を読んだときは、世の中にこんなにも後味の悪い小説があるものかとビックリしたものだ。
後味が悪く、強烈で、そして忘れられない。
「OUT」はバラバラ殺人がテーマ。主婦が夫を殺してバラバラにするのだ。
バラバラ殺人といえば、少し前にも世間を騒がせたばかり。
外資系企業に勤める夫を殺してバラバラにして捨てた事件で逮捕された容疑者も、妻。
旦那を殺し、バラバラにしてしまった彼女に対し、恐いと感じるだけでなく同時に可哀想と思うのは私が女性だからでしょうか?
「OUT」。
そのおぞましい犯罪に加担するのは彼女のパート仲間の主婦たち。
弁当工場の夜勤で一緒というつながりだけの平凡な主婦たちがなぜ犯罪に手を染めたのか・・・。
寂しさ、わびしさ、みすぼらしさ、閉塞感。。。
心の隙間を埋めたいけれどどうにもならない主婦たちは、そこから逃れるためにはどうしたらいいのか。
普通の主婦が、犯罪者になるのは、ほんの些細なことなのかもしれない。
ほんの小さな一言で心のタガが外れるのかもしれない。
もしかしたら・・・明日は我が身かもしれない。
恐い・・・。
この作品は10年前のものだけれど、背景に見える格差社会の溝、そして「バラバラ殺人」という事件が何か、「いま」を予言しているようでますます恐い・・・。
この「OUT」も後味が悪く、強烈で、そして忘れられない作品です。
ところで題名の「OUT」とは、
「もうこれ以上逃げられない、人生終わり」の「OUT」なんでしょうか?
それとも
「社会からはみ出した」という意味で「OUT」なんでしょうか?
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陰鬱でハード、読み応えのある小説
完璧な作品、見事な通俗性
IN(日常)からOUT(非日常)へ文藝春秋
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ゾクゾクします。
悪意
すごい負のパワー感じました。2007.01.25 『フェルメール全点踏破の旅』・朽木ゆり子
17世紀のオランダの画家、フェルメール。彼が描いたとされる絵は現在地球上に37枚しか見つかっていない。その全点を見て歩く旅に出たジャーナリストが、その旅の軌跡をベルリン、ドレスデン、ブラウンシュバイク、ウィーン、デルフト、アムステルダム、ハーグ、ロッテルダム、ロンドン、パリ、エジンバラ、ワシントン、フィラデルフィア、ニューヨークと綴ったのが本書。
さて、なんで目次にあった絵の置かれていた都市を全部書いたかというと、私自身がこの半数ほどの都市に出かけたことがあり、とくにウィーンの美術史美術館では見たいと思っていた彼の最高傑作と私が思う作品の『絵画芸術』が「現在『絵画芸術』は神戸(日本)に貸し出されています」と英文で貼り紙がされていて、ガッカリした経験があるからだ。
もっとも朽木さんもこの三週間ほどの旅ではフェルメールの絵を33枚しか見ていないという。
世界的な名画もまた各地の展覧会を巡る旅をしているので、巡り会えない作品も出てくるというわけだ。
それでもなお、作品一点一点が描かれた歴史的背景から、作品がどのような経路を経て現在掲げられている壁面にたどり着いたかの挿話はとても興味深く、フェルメールの技法や構図の有り様についての言及も上質な推理小説のように、いくつものパズルを重ねていくような楽しみがある。
それにしても、人が旅に出るのにはさまざまな目的や感情があるのだろうけれど、一人の画家の全作品を見るという目的の旅とは、何とすてきな時間と空間の使い方なのだろう。
もしも私だったら世界中に散らばっている何を見に旅立つだろうか。世界遺産に登録されている古代都市だろうか、巨大な建築物だろうか、世界の七不思議と呼ばれるものだろうか。
で、考えてみた。アルファベット26文字に代表される世界的なものを見に行く旅というのはどうだろう。
そしてすぐに思いついたのが、G=ピカソの『ゲルニカ』だ。エッ?ピカソならPじゃないの?と言われそうだけど、P=ピラミッドなのであしからず。
世界中で会いに行きたい26の旅先のもの。皆さんならアルファベットの何の文字の何に会いに行きたいと思うのだろうか?
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彼の作品の魅力が分かったような気にさせてくれる
見る前に読むと楽しい
あー、行きたい!2007.01.21 『天国からのラブレター』本村洋・弥生〜好きな人に手紙を書きたくなります〜
「山口 光市母子殺人事件」
山口県光市の社宅で23歳の母親と11ヶ月の乳児が、強姦目的で押し入った当時18歳の少年に惨殺された事件。加害者が18歳を過ぎて間もない時期に犯行を犯したため、裁判の経過が注目を集めている事件です。
遺族である夫 本村洋さんは死刑判決を望むことを今も強く表明し裁判を続けています。
この本『天国からのラブレター』は独り残された洋さんが、妻と娘がこの世に生きた証として、出版した本です。
洋さんと妻の弥生さんは交際中からたくさんの手紙のやり取りをしていて、この本はその手紙をひたすらそのまま載せてあります。
手紙は主に弥生さんが洋さんに宛てたものばかり^^;
(どうして男の人って、手紙書いてくれないのかなあ・・・)
「会いたい」
「買い物に行って茶色のスカートを買ったよー」
「今度温泉に行こう!」
「友達とケンカした・・・」
「新しい下着を買ったよ!」
「こないだはごめんなさい」
ほんとに他愛もない言葉だけれど、大切な二人の時間が手紙の中にちりばめられています。
「あぁぁぁぁ、こういう気持ちわかる!」
と思いながらも、
「あれれ??そういや、こういう気持ち、もう何年も忘れてるな私・・・」と、
すっかり擦れてしまった自分に気づいちゃったり・・・あは^^
「夕夏に歯が生えたよ」
「夕夏は洋にそっくりだから、洋が側に居てくれてるような気分になるよ」
一日一日の成長が楽しみな盛りの夕夏ちゃん。
事件の前日に「イタイ」という言葉を覚えたそうです。そして、その言葉は夕夏ちゃんがこの世で残した最後の言葉になってしまったのです。
残された洋さんは、家族を守れなかったことをずっと悔やみながら生きています。
本村さんご夫妻は不幸にも将来を断たれてしまいましたが、この本の中の二人を思うと「恋をするっていいな」と心から思います。
今の二人の時間は今しかなくて、彼への気持ちは今しかない、同じ言葉でしか表せなくても。
だから・・・この本を読んで、好きな人に手紙を書きたくなりました。
電話でもなくメールでもなく、手紙です。
大好きです、って伝えよう。
今日はこんなことに感動したよ、こんなものを食べたよって伝えよう。
今日の出来事に、掛けてもらった言葉に、そしてその人の存在に感謝をしよう。
『もういい年だし、今更「好き!」とか「愛してる」とか、ダルイでしょ。ありえないでしょ。そんなのより仕事や生活が大事』
なーんて思っちゃってた自分に『渇!』だ、『渇!』。
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残念・・・
いいな
本にする必要などあったのか2007.01.15 『風が強く吹いている』三浦しをん
2006年直木賞作家、三浦しをんさんは30歳のうら若き乙女。彼女は・・・ヲタクだ。
(エッセイで「漫画ヲタク」を公言しています。)
世のOLさんが、やれディナーだ、エステだと華々しく活動している同じ時間、しをんさんてば、自室に籠り、めくるめく漫画の世界にどっぷり浸っているのです。
そんな「ヲタク」三浦さんが、なんと「スポ恨」小説を書いちゃいました!
舞台は「箱根駅伝」。熱く、そして爽やかなスポーツ小説です。
10人のランナーが東京・読売新聞東京本社前〜箱根・芦ノ湖間の往復を襷でつなぐ『箱根駅伝』。学生長距離ランナーにとって最大の舞台。
その「箱根」を「めぞん一刻」ばりのオンボロアパート「青竹荘」に住む寛政大の学生が目指すという物語。
しかも1人は運動大嫌いの漫画オタクときたもんだ(これってモデルは三浦さんご自身!?)。
天賦の才を持ち、将来を嘱望されながらも、高校時代に暴力事件を起こし表舞台から消えていた主人公、怪我で第一線から遠ざかっていた主将・・・ほぼ現役といえるのはたった2人。
後は陸上未経験者ばかり。
ニコチン漬け、司法試験一発合格、クイズオタク、田舎者、黒人で一見速そうだが祖国ではボンボンの外国人留学生、ひたすらモテたい双子、そして漫画オタク。
おいおい三谷作品かよっ!とツッコミたくなる濃ゆ〜いメンツが「天下の険」をめざすのだ。
ちなみに私、中学高校と陸上部でした。
でした、が・・・ハッキリ言って長距離の人たちが理解できませんでした(そんな私はもちろん短距離)。
なんで、苦しい思いしてそんな走るの?
サパーリ理解できない。。。
みんなゼィゼィしてさ、走り終わったら意識失うほどにフラフラになってさ、
なんで走りたいの?
その答えはこの本の中にありました。
「・・・きみの価値判断はスピードだけなのか。だったら走る意味はない。新幹線に乗れ!飛行機に乗れ!そのほうが速いぞ!」
さてこの小説、「箱根駅伝」当日は駅伝のスピード感と躍動感そのまま、すばらしいリズムで描かれています。実際の箱根駅伝、実在の大学と小説がシンクロして、読みながら妄想炸裂。
妄想ついでに登場人物を勝手にキャスティングしてみる。
と。なぜかナイスルッキングなハズの双子が私の中では「ザ・たっち」だ・・・。
なんで?なんでなんで?
ぜひとも映画化、ドラマ化してほしい作品です。
読み終われば自分の中の「箱根熱」がメラメラ。いつしかそれは「いいね!箱根ッ」から「やるぞ!箱根ッ!」へ。
近々ケイタイのメモリ、片っ端から声をかけ、「勝手に箱根駅伝」をやろうかと思っています。
電話行ったら・・・ゴメン、諦めて走って!
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すごい!
きらきらと輝くたいせつなもの
素晴らしい作品です




